指先以外への触覚提示については,腕や体幹など,上半身を対象とした研究が数多く行われていますが,脚部に関してはそれほど研究事例が多く見られません.そこで,脚部への動作指示を目的として,仮現運動が生起する様子を調べてみました.
下腿部の2点に振動子を配置し,腕における先行研究と同様に,刺激時間 (Duration of Stimulus: DoS) と刺激開始時間差 (Stimulus Onset Asynchrony: SOA) を設定して,主観的に刺激が動いたか,同時刺激と感じたか,被験者に選択させました.刺激部位は,下腿の表側で,水平方向に6cm離した2点としました.
実験の結果,DOS と SOA がほぼ同じ,もしくは DOS > SOA の領域(2点の刺激が少し重なるぐらい)で刺激が動いたと感じる傾向が得られました.この結果は上腕部の結果と類似したものであり,腕,脚部ともに共通の刺激方法で動き感覚を生成できる可能性が示唆されました.